小林教授からMDS 2025の報告です
ホノルルで開催されたMDS (International Parkinson and Movement Disorder)年次学術集会に参加してきました。最後にMDSに参加したのはコロナ前のニース大会でしたので、久しぶりでした。開催地がハワイということもあり、とても楽しく充実した出張でした。
コロナ前と比べても若者を中心に参加者が多く活気を感じました。一般演題の数も膨大で、とてもチェックしきれないほどでした。私は”Clinical Picture of Acute Akinetic Collapse Leading to Multi-Day Immobility in Parkinson’s Disease”という演題をポスターで出したのですが、e-posterというのを初めて経験しました。事前に送ったPDFポスターがモニターに映し出されます。演者が使うマイクはbluetooth経由で中継され、聴衆は自前のヘッドホンで聴くというシステムでした。しかし、マイクに拡声機能がないので、ヘッドホンを持っていないとほとんど演者の声が届かず、モニターもそれほど大きくないため、離れるとほとんど見えないという問題があり、結果としてほとんど聴衆から質問が出ていませんでした。MDSとしては新しいことに挑戦しているのだと思いますが、失敗だったように思います。やはり従来どおりボードにポスターを掲示するのが良いと思いました。ただし、無線で音声を中継するのは、聴衆が皆ヘッドホンを持っていれば有効かもしれません。そのほかのシンポジウムや講演、Ground Roundなどは質が高く、非常に充実した内容でした。
ハワイが日本人に人気のリゾートのためかわかりませんが、日本からの参加者を多く見かけました。私自身は14年ぶりのハワイでしたが、驚いたのは物価の高さです。バーガーとアイスティーの昼食が20%のチップ込みで40ドルでした。高市トレードのおかげで1ドル150円になっていますから、6000円ですね。日本と一桁違います。円安の影響もありますが、やはり米国のインフレが異常なレベルで、加えてハワイは島なので、物資を本土から運び込むコストがかかるのでしょう。そしてトランプ関税はさらにインフレを呼ぶでしょう。街にはホームレスの姿が目立ち、以前とは雰囲気が変わっているのを感じました。
10月のハワイは雨季に入りますが、気温は快適で過ごしやすく、朝は早起きしてビーチ沿いを走り、トライアスロン発祥の地でスイムの練習をしました。エメラルドグリーンの海と澄み渡る青空は楽園そのものですが、現地で暮らす人々にとっては物価高の影響が深刻で楽園とは言えないでしょう。ハワイの美しさとMDSの素晴らしさ、そして変貌するアメリカ社会を実感した4日間でした。
< 戻る